定款の事業目的は自分で追加できる?
株式会社の定款に記載されている事業目的は、専門家に依頼せず自分で追加できます。ただし、定款の内容を書き換えるだけでは手続きは完了しません。株主総会で定款変更を決議したうえで、登記簿に記載されている「目的」について変更登記を申請する必要があります。
事業目的の追加は、手順を確認して進めればそれほど難しい手続きではありません。一方で、許認可が必要な事業では目的の文言が重要になるため、追加する前に確認しておくことが大切です。
事業目的の追加には定款変更と変更登記が必要
新しい事業を始める際、現在の定款に記載されている事業目的では対応できない場合は、定款を変更します。株式会社では、原則として株主総会を開催し、事業目的の変更について決議します。株主総会で決議した後は、法務局へ目的変更登記を申請します。これは、事業目的が会社の登記事項にもなっているためです。
したがって、事業目的の追加は「定款を変更する手続き」と「登記簿を変更する手続き」の2つに分けて考えると分かりやすいでしょう。定款を変更しただけでは登記簿の内容は変わらないため、変更登記まで忘れずに行う必要があります。
なお、登記事項に変更が生じた場合は、原則として変更の日から2週間以内に登記申請を行います。株主総会で目的変更を決議したら、できるだけ早く申請しましょう。
専門家に依頼せず自分で手続きできる
事業目的の追加に伴う変更登記は、会社自身で申請できます。司法書士などの専門家へ依頼する方法もありますが、自分で手続きを行えば専門家への報酬を抑えられます。自分で行う場合は、まず追加する事業目的を決め、株主総会で定款変更を決議します。その後、株主総会議事録や株主リスト、変更登記申請書などの書類を準備し、管轄の法務局へ提出します。
法務局では、株式会社の目的変更に使用する変更登記申請書の様式や記載例が公開されています。初めて申請する場合でも、これらを参考にしながら必要書類を作成できます。
ただし、すべてのケースで簡単に判断できるとは限りません。特に建設業や宅地建物取引業、古物営業など、許認可が関係する事業では注意が必要です。許認可の申請時に、定款や登記簿の事業目的について一定の記載が求められる場合があるため、事前に所管する行政庁などへ確認しておくと安心です。
事業目的の追加が必要になるケース
事業目的の追加が必要になるのは、主に現在の定款に記載されている目的では、新しく始める事業を十分にカバーできない場合です。
例えば、新たにECサイトを運営する、コンサルティングサービスを始める、不動産関連事業へ進出するなど、これまでとは異なる事業を始めるケースが挙げられます。建設業や宅地建物取引業など、許認可が必要な事業を始める場合も、事業目的の内容を確認しておく必要があります。
また、すぐに始める事業だけでなく、近い将来に開始する可能性がある事業をあらかじめ目的に加えておくこともできます。今後の事業展開を見据えて目的を整理しておけば、新規事業を始めるたびに定款変更を行う手間を減らせるでしょう。ただし、現在の事業目的で新しい事業をカバーできる場合は、必ずしも追加する必要はありません。まずは現在の定款と登記事項証明書を確認し、新しく始める事業が既存の目的に含まれているかを確認しましょう。
事業目的を追加するか迷う場合や、許認可が関係する場合は、手続きを始める前に専門家や所管する行政庁へ確認しておくと、後から目的を変更し直すリスクを抑えられます。
事業目的を追加する前に確認しておきたいこと
事業目的を追加するときは、思いついた事業名をそのまま定款に記載すればよいわけではありません。実際に行う事業の内容や許認可の有無、現在の定款・登記内容を確認したうえで、適切な目的を決めることが大切です。
特に、許認可が必要な事業では、目的の記載内容が申請に影響する場合があります。後から変更し直す手間を避けるためにも、手続きを始める前に必要な事項を整理しておきましょう。
追加したい事業が決まっているか確認する
まずは、これから始める事業の内容を具体的に整理しましょう。
例えば、「インターネット関連事業」といっても、Webサイトの制作、オンライン販売、広告、システム開発など、さまざまな事業が考えられます。どのような商品やサービスを提供するのかを明確にすると、事業目的として適切な表現を検討しやすくなります。
また、現在の事業だけでなく、今後関連する事業を展開する予定があるかも考えておきましょう。将来の事業展開まで見据えて目的を設定することで、短期間で何度も変更する手間を抑えられます。
許認可が必要な事業は事前確認が必要
建設業や宅地建物取引業、古物営業、職業紹介、労働者派遣など、許可・免許・登録が必要な事業を始める場合は注意が必要です。
定款に事業目的を追加しただけでは、許認可を取得したことにはなりません。さらに、許認可の申請時に、定款や登記事項証明書に記載された事業目的について、一定の表現を求められる場合があります。
そのため、目的変更を行う前に、許認可を担当する行政庁へ目的の文言を確認しておくと安心です。先に確認しておけば、目的変更後に「記載内容が要件を満たしていない」と判明するリスクを減らせます。
現在の定款・登記内容を確認する
事業目的を追加する前に、現在の定款と登記事項証明書を確認しましょう。特に「目的」の記載を確認し、新しく始める事業がすでに含まれていないかをチェックします。定款と登記簿の内容に違いがないかを確認することも重要です。すでに似た内容の目的が記載されている場合は、新たに追加しなくても対応できる可能性があります。
まずは現在の目的を整理し、本当に追加が必要なのかを判断してから変更手続きを進めるとよいでしょう。
定款の事業目的を追加する手続きの流れ
株式会社の事業目的を追加する場合は、まず新しく始める事業の内容を整理し、追加する目的を決めます。その後、株主総会で定款変更を決議し、議事録などの必要書類を準備して法務局へ変更登記を申請します。
登記が完了したら、登記簿の内容を確認して手続きは完了です。基本的には「事業目的を決める→株主総会で決議する→必要書類を作成する→変更登記を申請する→登記内容を確認する」という流れで進めます。
STEP1.追加する事業目的を決める
最初に、定款へ追加する事業目的を決めます。実際に行う事業の内容を整理し、会社がどのような事業を行うのか分かる表現を検討しましょう。
例えば、オンラインショップを運営する場合は「インターネットを利用した通信販売業」などの目的が考えられます。ただし、事業目的にはさまざまな表現があるため、単に事業名をそのまま記載するのではなく、事業内容に合った文言を選ぶことが重要です。
また、建設業や宅地建物取引業など許認可が必要な事業では、目的の記載内容が許認可の要件に関係する場合があります。必要に応じて、目的を決める前に所管する行政庁へ確認しておきましょう。
STEP2.株主総会で定款変更を決議する
追加する事業目的が決まったら、株主総会を開催して定款変更について決議します。株式会社の事業目的を変更する場合は、原則として株主総会の特別決議が必要です。株主総会では、変更する目的の内容を確認し、変更後の定款内容を決定します。決議した内容は株主総会議事録に記録しておきます。
なお、株主総会の開催方法や決議要件は、会社の機関設計や株式の状況などによって確認が必要です。自社の定款もあわせて確認し、適切な手続きを行いましょう。
STEP3.株主総会議事録などを作成する
株主総会で目的変更を決議したら、変更登記に必要な書類を準備します。目的変更登記では、主に株主総会議事録と株主リストを用意します。株主総会議事録には、目的変更についてどのような決議を行ったのかが分かるように記載します。
代理人に登記申請を依頼する場合は委任状も必要です。一方、自分で法務局へ申請する場合は、通常、委任状を用意する必要はありません。
STEP4.変更登記を申請する
必要な書類がそろったら、本店所在地を管轄する法務局へ目的変更登記を申請します。申請方法には、法務局の窓口へ書類を提出する方法、郵送による方法、オンラインで申請する方法があります。自分で手続きをする場合は、法務局が公開している目的変更の申請書や記載例を参考にすると、必要事項を確認しながら作成できます。
変更登記には登録免許税もかかります。また、登記事項に変更が生じた場合は、原則として変更の日から2週間以内に申請する必要があります。期限を過ぎないよう、株主総会後は早めに申請しましょう。
STEP5.登記完了後に内容を確認する
登記申請が完了したら、登記簿に記載された事業目的が正しく変更されているか確認します。特に、追加した目的の文言や順番に間違いがないかを確認しておくことが大切です。必要に応じて登記事項証明書を取得すれば、現在の登記内容を正確に確認できます。
許認可の申請や金融機関への提出などで登記事項証明書を使用する予定がある場合は、登記完了後に確認しておくと安心です。もし内容に誤りがあれば、早めに法務局へ相談しましょう。
事業目的の追加に必要な書類
株式会社の事業目的を変更する場合は、変更登記のためにいくつかの書類を準備する必要があります。基本的には「株式会社変更登記申請書」「株主総会議事録」「株主リスト」を用意します。
自分で申請する場合でも、特別な書類を用意する必要があるわけではありません。ただし、会社の状況や申請方法によって追加の書類が必要になる場合があるため、提出前に確認しておきましょう。
株式会社変更登記申請書
目的変更登記を申請するために、「株式会社変更登記申請書」を作成します。申請書には、商号や本店所在地などの会社情報に加えて、「登記の事由」や「登記すべき事項」を記載します。目的変更の場合、「登記の事由」には「目的の変更」と記載し、「登記すべき事項」には変更後の事業目的を記載します。
法務局では目的変更の申請書や記載例が公開されているため、自分で申請する場合は最新の様式を利用すると安心です。
株主総会議事録
株主総会議事録は、事業目的の変更について株主総会で決議したことを証明する書類です。目的変更の登記では、どのような内容の定款変更を決議したのかが分かるように作成します。開催日時や場所、出席状況などに加えて、変更後の事業目的について正確に記載しておきましょう。
登記申請書に記載する目的と議事録の内容に違いがないよう、提出前に確認することも大切です。
株主リスト
株主リストは、株主総会で決議した時点の株主情報を記載する書類です。商業・法人登記の申請では、一定の場合に株主リストの添付が求められます。記載する株主は、議決権数などに応じて一定の基準で決まります。株主が少ない会社でも、必要な情報を確認したうえで作成しましょう。
法務局の目的変更に関する申請書の記載例でも、株主総会議事録とあわせて株主リストが添付書類として示されています。
ケースによって必要になる書類
基本的な目的変更では、先ほど紹介した書類が中心となりますが、会社の状況や申請方法によって追加の書類が必要になる場合があります。
たとえば、司法書士などの代理人に登記申請を依頼する場合は、委任状を準備します。一方、自分で申請する場合は通常、委任状は必要ありません。
また、オンライン申請を利用する場合は、電子署名などについて一定の手続きが必要になることがあります。申請前に法務局の最新の様式や記載例を確認し、自社のケースで必要な書類をそろえておきましょう。
事業目的の追加にかかる費用と期限
事業目的の追加には、変更登記のための登録免許税がかかります。自分で手続きをする場合は、専門家への報酬を支払う必要がないため、基本的な費用を抑えられます。
また、目的変更登記には申請期限があるため、費用だけでなく、いつまでに手続きを行う必要があるのかも確認しておきましょう。
登録免許税はいくらかかる?
株式会社の目的変更登記にかかる登録免許税は、原則として3万円です。法務局が公開している目的変更の申請書記載例でも、登録免許税は「1件につき3万円」とされています。事業目的を1つ追加する場合でも、複数の目的をまとめて追加する場合でも、目的変更の登記申請1件について3万円が基本です。
ただし、目的変更と同時に商号変更や役員変更など、別の登記を行う場合は、登録免許税の扱いが変わることがあります。複数の変更をまとめて行う場合は、必要な税額を事前に確認しておきましょう。
自分で手続きする場合の費用
自分で目的変更登記を申請する場合、司法書士などの専門家へ依頼する報酬はかかりません。基本的には、登録免許税3万円に加えて、申請書などの印刷費や、必要に応じて登記事項証明書の取得費用などがかかります。
そのため、できるだけ費用を抑えたい場合は、自分で書類を作成して申請する方法が選択肢になります。ただし、書類の作成や手続きに不安がある場合は、専門家へ依頼することで手間やミスを減らせます。
変更登記はいつまでに申請する?
目的変更登記は、原則として変更の日から2週間以内に申請する必要があります。株式会社の場合、株主総会で目的変更を決議したら、その内容に基づいて速やかに登記申請を行いましょう。特に、新規事業の開始や許認可の申請などを予定している場合は、登記完了までの期間も考慮して早めに手続きを進めることが大切です。
書類の準備に時間がかかることもあるため、期限直前になってから準備を始めるのは避けたほうがよいでしょう。
期限を過ぎた場合はどうなる?
変更登記の期限を過ぎても申請しなかった場合、会社の代表者などが過料の対象となる可能性があります。
また、登記簿上の事業目的と実際に行う事業が一致していないと、金融機関や取引先との手続き、許認可の申請などで問題になることもあります。「まだ事業を始めていないから大丈夫」と考えず、目的変更を決議したら、必要書類を早めに準備して期限内に登記申請を行いましょう。
追加する事業目的を決めるときのポイント
事業目的は、会社がどのような事業を行うのかを外部に示す重要な項目です。新しい事業を始めるからといって、事業名をそのまま追加するのではなく、現在の事業との関連性や今後の展開も考えて内容を決めることが大切です。
特に許認可が必要な事業では、目的の文言が許認可の取得に影響する場合があります。後から変更する手間を避けるためにも、事前に確認しておきましょう。
会社が実際に行う事業を目的に含める
まずは、会社が実際に行う事業を事業目的に含めることが基本です。第三者が登記簿を見たときに、どのような事業を行っている会社なのか分かるよう、事業内容に合った表現を選びましょう。
例えば、Web制作会社が新たにオンライン広告事業を始めるのであれば、広告関連の目的を追加することを検討します。単に「新しいサービスを始める」というだけでなく、実際にどのような商品やサービスを提供するのかを整理してから文言を決めるとよいでしょう。
目的の内容と実際の事業が大きく異ならないようにすることも重要です。事業内容を適切に表現した目的にしておけば、取引先などから会社の事業内容を確認された場合にも説明しやすくなります。
将来行う可能性がある事業も追加できる
事業目的には、現在すでに行っている事業だけでなく、将来的に始める予定の事業を追加することもできます。
例えば、近い将来に新規事業へ参入する予定がある場合、あらかじめ関連する目的を追加しておけば、事業を開始するたびに定款変更や目的変更登記を行う手間を減らせます。
ただし、将来行う可能性があるからといって、関連性のない事業まで無制限に追加するのは避けたほうがよいでしょう。目的が多すぎると、会社が実際に何をしているのか分かりにくくなることがあります。現在の事業と将来の展開を整理し、実際に行う可能性が高い事業を中心に追加することがポイントです。
許認可事業では目的の文言に注意する
建設業や宅地建物取引業、古物営業など、許認可が必要な事業を始める場合は、事業目的の文言を特に慎重に決めましょう。許認可の申請時に、定款や登記事項証明書に記載された事業目的について、一定の内容や表現を求められる場合があります。目的を追加した後で「許認可の申請に必要な記載が足りない」と分かると、再度目的変更の手続きが必要になる可能性があります。
そのため、目的を変更する前に、許認可を担当する行政庁や窓口へ「この目的の記載で問題ないか」を確認しておくと安心です。事業目的の追加と許認可の取得は別の手続きである点にも注意しましょう。
既存の事業目的との重複を確認する
新しい目的を追加する前に、現在の定款や登記事項証明書に記載されている目的を一つずつ確認しましょう。すでに似た内容の目的が記載されている場合は、新たに追加しなくても対応できる可能性があります。反対に、現在は行っていない事業や、今後も行う予定がない事業が記載されている場合は、この機会に削除を検討してもよいでしょう。
事業目的の変更は、新しい目的を追加するだけでなく、会社の現在の事業内容に合わせて全体を整理する機会でもあります。追加・変更・削除をまとめて検討し、現在と将来の事業に合った内容に整えておくとよいでしょう。
自分で目的変更登記を申請する方法
目的変更登記は、必要な書類をそろえれば会社自身で申請できます。初めて手続きをする場合は、法務局が公開している申請書の様式や記載例を確認しながら進めるとよいでしょう。
ここでは、登記申請書の作成から法務局への提出まで、自分で申請するときに押さえておきたいポイントを紹介します。
登記申請書の作成方法
目的変更登記では、法務局が公開している「株式会社変更登記申請書(目的の変更)」の様式を利用できます。申請書には、会社法人等番号、商号、本店所在地、登記の事由、登記すべき事項、登録免許税、添付書類などを記載します。目的変更の場合、「登記の事由」には「目的の変更」と記載します。
会社法人等番号や商号、本店所在地などは、現在の登記事項証明書などを確認しながら正確に記載しましょう。特に会社情報の記載ミスがないよう、提出前に一つずつ確認することが大切です。
「登記すべき事項」の記載方法
「登記すべき事項」には、目的変更後の事業目的を記載します。目的を追加する場合は、追加する項目だけを記載するのではなく、変更後の目的全体を記載するのが基本です。変更前の目的と変更後の目的を整理し、追加・削除した内容が分かるようにしておくと、申請書を作成しやすくなります。
法務局の記載例では、登記すべき事項を別紙で提出する方法のほか、オンライン申請などによって情報を提出する方法も案内されています。
変更後の事業目的を記載する
目的変更登記では、変更後の事業目的を正確に記載することが重要です。例えば、変更前の目的が「Webサイトの企画及び制作」「広告代理業」「前各号に附帯又は関連する一切の事業」の3項目で、新たにシステム開発を追加する場合は、変更後の目的として4項目を記載します。
このとき、定款に記載する目的と登記申請書の目的に違いがないよう注意しましょう。目的の追加や削除を複数行う場合は、最終的な目的の順番まで整理してから申請書を作成すると、記載ミスを防ぎやすくなります。
法務局への提出方法
変更登記の申請先は、会社の本店所在地を管轄する法務局です。申請方法には、窓口へ書類を提出する方法や郵送、オンライン申請などがあります。
初めて自分で申請する場合は、法務局の最新の記載例を確認しながら書面で準備すると進めやすいでしょう。オンライン申請を利用する場合は、電子証明書などの準備が必要になることがあります。
どの方法で申請する場合でも、提出前に申請書と添付書類の内容を確認し、登録免許税や申請期限にも注意して手続きを進めましょう。
事業目的を追加するときの注意点
事業目的の追加は、定款に新しい目的を書き加えるだけで完了する手続きではありません。株主総会での決議や変更登記、必要に応じた許認可の取得など、いくつかの手続きを正しく進める必要があります。
特に、定款と登記簿の関係や、許認可が必要な事業については注意が必要です。事業を始める前に、必要な手続きを一つずつ確認しておきましょう。
定款を変更しただけでは手続きは完了しない
事業目的を追加するときに注意したいのが、定款変更と変更登記を混同しないことです。株主総会で定款変更を決議しても、その内容が登記簿へ自動的に反映されるわけではありません。事業目的は会社の登記事項でもあるため、別途、法務局へ目的変更登記を申請する必要があります。
つまり、「株主総会で決議する」「法務局へ変更登記を申請する」という2つの手続きを行う必要があります。定款を変更した段階で手続きを終えないよう注意しましょう。
登記と実際の事業内容を一致させる
会社が実際に行う事業と、登記簿に記載されている事業目的が大きく異ならないようにすることも重要です。新しい事業を始める前には、現在の事業目的で対応できるかを確認し、必要であれば目的変更を行いましょう。すでに似た目的が記載されている場合は、追加が必要ないケースもあります。
登記上の事業目的は、取引先や金融機関などが会社の事業内容を確認するときにも利用されます。会社の実態に合った内容に整理しておくことが大切です。
許認可が必要な事業は別途手続きが必要
事業目的を追加したからといって、その事業に必要な許認可まで取得できるわけではありません。建設業や宅地建物取引業、古物営業など、許可・免許・登録などが必要な事業を始める場合は、目的変更とは別に所定の手続きを行う必要があります。
また、許認可の申請時に定款や登記事項証明書の事業目的について、一定の記載を求められる場合もあります。「定款変更」「目的変更登記」「許認可の取得」は、それぞれ別の手続きとして考えましょう。
複数の変更を同時に行う場合の注意点
事業目的の追加と同時に、商号変更や本店移転、役員変更などを行うこともできます。複数の変更をまとめて手続きすることで、申請の手間を減らせる場合があります。一方で、変更内容が増えるほど必要書類や登録免許税の計算、申請書の記載が複雑になることがあります。
複数の変更を同時に行う場合は、それぞれの変更について必要な手続きを整理し、登録免許税も含めて事前に確認しておきましょう。
まとめ|定款の事業目的の追加は自分でもできる
定款の事業目的を追加する手続きは、専門家に依頼せず、会社自身で行うことができます。ただし、定款の内容を書き換えるだけでは手続きは完了しません。株式会社の場合は、まず追加する事業内容を決め、現在の定款や登記内容を確認したうえで、株主総会で定款変更を決議します。その後、株主総会議事録や株主リストなどの必要書類を準備し、目的変更登記を申請します。
目的変更登記の登録免許税は、原則として3万円です。申請先は会社の本店所在地を管轄する法務局で、変更の日から原則2週間以内に申請する必要があります。登記が完了したら、登記事項証明書などで変更後の事業目的を確認しておくと安心です。
また、許認可が必要な事業を始める場合は、事業目的の文言にも注意しましょう。目的を追加しただけで許認可を取得したことにはならないため、必要な許可や登録などは別途手続きする必要があります。
事業目的を追加するときは、単に新しい事業名を記載するのではなく、実際の事業内容や今後の事業展開まで考えて目的を決めることが大切です。法務局が公開している最新の申請書や記載例を確認しながら、一つずつ手続きを進めれば、自分で目的変更登記を行うことも十分可能です。

