商業登記簿謄本とは?
商業登記簿謄本は、会社の基本情報や役員、所在地など、法務局に登記されている内容を確認できる重要な書類です。会社との契約や取引を行う際には、相手方の正式な会社名や代表者、本店所在地などを確認するために利用されることがあります。また、取得する証明書の種類によって確認できる情報の範囲も異なるため、目的に応じて適切なものを選ぶことが大切です。ここでは、商業登記簿謄本に記載されている主な情報や取得できる人、確認することで何がわかるのかについて詳しく解説します。
商業登記簿謄本は会社の登記情報を証明する書類
商業登記簿謄本とは、会社・法人について法務局に登記されている情報を証明する書類です。現在は「登記事項証明書」という名称が正式であり、「商業登記簿謄本」は一般的に使われている呼称と考えると分かりやすいでしょう。
商業・法人登記は、会社の商号や所在地、代表者など、取引上重要な事項を公開することで、会社の信用を維持し、取引の相手方が安心して取引できるようにする制度です。
登記事項証明書には複数の種類があります。代表的なものが「履歴事項全部証明書」「現在事項証明書」などです。特に「会社の現在の情報だけでなく、過去の変更内容も確認したい」という場合には、履歴事項全部証明書が利用されることが多くあります。
商業登記簿謄本には会社のどんな情報が載っている?
商業登記簿謄本には、会社の基本情報や役員、株式、登記された変更事項などが記載されています。
主な項目は次のとおりです。
- 商号
- 本店所在地
- 会社の目的
- 資本金の額
- 役員に関する事項
- 会社の設立年月日
- 株式に関する事項
- 登記された変更事項
ただし、取得する証明書の種類によって記載される範囲は異なります。
例えば、現在事項証明書は現在効力のある登記事項を中心に記載する一方、履歴事項証明書では一定期間内に抹消された登記事項も確認できます。法務省では、履歴事項証明書について、請求日の3年前の日の属する年の1月1日から請求日までの間に抹消された事項などが記載されると説明しています。そのため、提出先から「履歴事項全部証明書」などと指定されている場合は、単に「登記簿謄本を取ればよい」と考えず、必要な証明書の種類まで確認することが大切です。
商業登記簿謄本は誰でも取得できる?
商業登記簿謄本、つまり登記事項証明書は、原則として誰でも取得できます。法務省も、手数料を納付すれば会社の登記事項証明書を取得でき、代表者本人でなくても、他社の登記事項証明書でも取得できるとしています。つまり、自社の登記簿謄本だけでなく、取引先や契約予定の会社についても登記情報を確認できます。
一方、会社の印鑑証明書は扱いが異なります。印鑑証明書の請求には、原則として印鑑カードなどが必要になるため、登記事項証明書と同じ感覚で考えないよう注意しましょう。
商業登記簿謄本を確認すると何がわかる?
商業登記簿謄本を確認すると、その会社について法務局に登記されている基本的な情報を把握できます。
例えば、次のような確認が可能です。
- 正式な会社名は何か
- 本店所在地はどこか
- どのような事業を目的としているか
- 資本金はいくらか
- 誰が代表者として登記されているか
- 会社がいつ設立されたか
- 役員にどのような変更があったか
- 商号や本店所在地などに変更があったか
取引先の法人確認に利用すれば、契約書などに記載された会社名や代表者、所在地との一致を確認することもできます。
ただし、商業登記簿謄本だけで会社の売上や利益、実際の取引実績、財務状況などをすべて判断できるわけではありません。登記情報から確認できる範囲を理解して利用することが重要です。
商業登記簿謄本に記載されている主な内容
商業登記簿謄本には、会社の商号や本店所在地、事業目的、資本金、役員など、法人を確認するうえで重要な情報が記載されています。これらの情報を確認することで、会社の基本的な属性や登記上の状況を把握できます。また、履歴事項証明書を取得すれば、商号変更や本店移転、役員変更など、一定期間内の登記変更についても確認できます。ここでは、商業登記簿謄本に記載されている主な内容について、それぞれ詳しく解説します。
会社の商号
商号とは、会社の正式な名称です。登記された商号を確認することで、契約書や請求書などに記載された会社名が正式なものか確認できます。
似た名称の会社が存在する場合でも、商号だけで判断せず、本店所在地や会社法人等番号などもあわせて確認すると、対象となる法人を特定しやすくなります。
本店所在地
本店所在地は、会社の登記上の本店が置かれている場所です。取引先の法人確認や契約手続きでは、相手から提示された住所と登記上の本店所在地が一致しているか確認する場面があります。
なお、登記上の本店所在地と、実際に営業している場所が必ずしも同じとは限りません。そのため、登記簿謄本の住所は「登記された本店の所在地」として確認する必要があります。
会社の目的
会社の目的には、その会社が事業として行う内容が記載されています。例えば、ITサービス、広告業、不動産業、コンサルティング業など、会社が定款で定め、登記している事業目的を確認できます。
新しい取引を始める際には、相手企業がどのような事業を目的としている会社なのかを確認する材料になります。
資本金の額
登記事項証明書には、会社の資本金の額も記載されています。資本金は会社の財務状況そのものを表す数字ではありませんが、法人の基本情報として確認されることがあります。
例えば、金融機関の手続きや取引先の審査などで、会社の基本的な属性を確認する際に利用されます。
役員に関する情報
取締役や代表取締役など、会社の役員に関する登記事項も確認できます。特に代表者については、契約や法人確認の場面で重要になることがあります。
ただし、役員情報についても証明書の種類や会社の機関設計によって記載内容が異なるため、必要な情報がどの証明書に含まれるかを確認してから請求することが大切です。
会社の設立年月日
会社の設立年月日も登記情報から確認できます。会社がいつ設立された法人なのかを確認したい場合に利用できます。現在事項証明書にも会社成立の年月日が記載されます。
株式に関する事項
株式会社の場合、株式に関する登記事項も確認できます。代表的なものとして、発行可能株式総数や株式の譲渡制限に関する事項などがあります。
ただし、「登記簿謄本を見れば現在の株主が全員分かる」とは限りません。登記簿は株主名簿そのものではないため、株主構成を確認したい場合には別の資料が必要になることがあります。
会社の登記内容に関する変更履歴
履歴事項証明書では、商号変更や本店移転、役員変更など、一定期間内に抹消された登記事項を確認できる場合があります。そのため、現在の情報だけでなく「過去にどのような登記変更があったのか」を確認したいときにも役立ちます。
なお、過去の情報をどこまで確認できるかは証明書の種類によって異なります。より古い登記内容を調べたい場合は、閉鎖事項証明書など別の証明書が必要になることがあります。
商業登記簿謄本が必要になるのはどんなとき?
商業登記簿謄本は、会社の基本情報や代表者などを公的に確認できるため、さまざまな場面で提出や確認を求められます。例えば、法人との取引を始めるときや銀行口座を開設するとき、融資や行政手続き、不動産に関する手続きを行うときなどに必要になる場合があります。ただし、手続きによって必要な証明書の種類や発行時期などの条件が異なることもあります。ここでは、商業登記簿謄本が必要になる代表的な場面について詳しく解説します。
会社の本人確認・法人確認を行うとき
法人との取引を始める際には、相手が実在する会社なのか、正式な商号や所在地、代表者は誰なのかを確認することがあります。このような法人確認の資料として、商業登記簿謄本が利用されます。登記情報を確認することで、相手から提示された会社名や所在地などが、法務局に登記されている内容と一致しているか確認できます。
特に初めて取引する会社については、契約前に登記情報を確認しておくことで、会社情報の入力ミスや認識違いを防ぎやすくなります。重要な契約や継続的な取引を行う場合には、事前に登記情報を確認しておくと安心です。
銀行口座を開設するとき
法人名義の銀行口座を開設するときには、金融機関から登記事項証明書などの法人確認書類を求められる場合があります。会社の商号や本店所在地、代表者などを確認するために提出する書類の一つです。法人として口座を開設する場合、個人の場合とは異なり、会社の実態や事業内容などについて確認を受けることがあります。そのため、登記事項証明書以外にも、事業内容を確認できる資料などの提出を求められる場合があります。
必要書類や発行からの経過期間などは金融機関によって異なるため、口座開設を申し込む前に確認しておきましょう。古い証明書では受け付けてもらえない可能性もあるため、必要になってから取得するのがおすすめです。
融資や金融機関の手続きをするとき
銀行などから融資を受ける場合や、金融機関と法人としての手続きを行う場合にも、会社の基本情報を確認するために登記事項証明書が必要になることがあります。金融機関では、申込者である法人の正式な商号や本店所在地、代表者などを確認したうえで手続きを進めるため、登記情報が確認できる書類の提出を求められることがあります。
融資だけでなく、法人向けサービスの契約や各種金融商品の申し込みなどでも提出を求められる可能性があります。手続きの内容によって必要な書類が異なるため、金融機関から案内された必要書類を事前に確認しておくことが大切です。
契約や取引に必要な書類を提出するとき
法人同士で契約を締結する際、相手企業から「履歴事項全部証明書を提出してください」と指定されることがあります。これは、契約する法人の存在や商号、本店所在地、代表者などを確認するためです。特に、金額の大きな契約や長期的な取引を開始する場合には、相手企業がどのような法人なのかを確認するため、登記事項証明書の提出を求められることがあります。
契約書に記載する法人情報と登記事項証明書の内容を照合しておくと、会社名や所在地、代表者名などの記載ミスの防止にもつながります。相手企業から証明書の種類を指定された場合は、その指定に沿って取得するようにしましょう。
許認可などの行政手続きをするとき
事業を始める際の許認可申請や行政機関への各種届出でも、法人の登記事項証明書が必要になる場合があります。申請する法人の基本情報を確認するため、申請書類とあわせて提出を求められるケースがあります。
例えば、一定の許認可を取得して事業を開始する場合には、法人の目的や所在地、代表者などが確認されることがあります。申請内容によっては、登記事項証明書以外にも定款や印鑑証明書などの書類が必要になる場合があります。
ただし、許認可の種類によって必要書類や証明書の種類は異なります。「法人だから必ず登記簿謄本が必要」と決めつけず、申請先の最新の案内を確認しましょう。提出する証明書の種類や発行からの期間について条件が設けられている場合もあります。
不動産に関する手続きをするとき
法人が不動産を購入・売却したり、賃貸借契約などの手続きをしたりする場合にも、法人の代表者や所在地などを確認するために登記事項証明書が利用されることがあります。
不動産の売買や賃貸借では、契約の当事者がどの法人なのかを明確にする必要があります。そのため、登記事項証明書を確認して、契約書に記載された法人名や本店所在地、代表者などが登記内容と一致しているか確認することがあります。
また、不動産取引では法人の登記事項証明書だけでなく、印鑑証明書など別の書類を求められることもあります。取引の内容や相手方によって必要書類は異なるため、契約や登記の手続きを進める前に、必要な書類を確認しておくことが重要です。
商業登記簿謄本はどこで取得できる?
商業登記簿謄本(登記事項証明書)は、法務局の窓口だけでなく、郵送やオンラインでも請求できます。現在は登記情報のコンピュータ化が進んでいるため、以前のように会社の本店所在地を管轄する法務局まで出向く必要はありません。自分の都合や取得までの期間に合わせて、適した方法を選ぶことができます。ここでは、商業登記簿謄本を取得できる場所や方法について、それぞれ詳しく解説します。
法務局の窓口で取得する
商業登記簿謄本は、法務局の窓口で請求できます。現在は登記情報のコンピュータ化が進んでいるため、会社所在地を管轄する法務局に限らず、全国の法務局などで会社の登記事項証明書を取得できます。そのため、自宅や勤務先の近くにある法務局を利用することも可能です。
窓口では申請書に必要事項を記入して提出し、手数料を支払って証明書を受け取ります。すぐに証明書が必要な場合や、申請方法について窓口で確認したい場合には、直接法務局へ行って取得する方法が便利です。
郵送で取得する
商業登記簿謄本は、法務局への郵送請求でも取得できます。窓口へ出向く時間がない場合に便利な方法ですが、申請書類を準備して郵送し、法務局での処理後に証明書が返送されるまでの時間も考慮する必要があります。そのため、提出期限が迫っている場合には、余裕を持って請求することが大切です。
また、郵送で受け取る場合には、登記手数料とは別に郵送料がかかります。必要な証明書の種類や部数をあらかじめ確認したうえで、必要書類をそろえて請求しましょう。
オンラインで請求する
インターネットを利用して、登記事項証明書を請求することもできます。法務局の案内によれば、オンライン請求では自宅や会社から請求でき、証明書を郵送で受け取るほか、最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取ることも可能です。
窓口へ行く手間を減らせるうえ、手数料も窓口・書面請求より安く設定されています。日中に法務局へ行くことが難しい場合や、できるだけ効率よく証明書を取得したい場合には、オンライン請求を利用する方法も検討できます。
会社所在地の管轄法務局でなくても取得できる?
原則として、会社の本店所在地を管轄する法務局まで行く必要はありません。現在は登記事項証明書を全国の法務局の窓口で取得できる仕組みになっているため、会社から離れた場所に住んでいる場合でも、自宅や勤務先の近くにある法務局で請求できます。
ただし、取得する証明書の種類や登記記録の状況などによっては、取り扱いが異なる場合があります。特別な事情がある場合や、取得できるかどうか判断しにくい場合は、事前に法務局へ確認しておくと安心です。
商業登記簿謄本を取得する方法
商業登記簿謄本は、法務局の窓口だけでなく、郵送やオンラインでも請求できます。取得方法によって、必要な書類や手数料、証明書を受け取るまでの期間などが異なるため、自分の状況に合った方法を選ぶことが大切です。また、請求する際には会社を特定するための情報も必要になります。ここでは、商業登記簿謄本を取得する具体的な手順や、請求時に準備しておきたい会社の情報について解説します。
法務局の窓口で請求する手順
窓口で取得する場合のおおまかな流れは次のとおりです。
- 商業・法人登記事項証明書の交付申請書を用意する
- 会社の商号や本店など必要事項を記入する
- 必要な証明書の種類を選択する
- 手数料を納付する
- 法務局の窓口へ提出する
- 登記事項証明書を受け取る
法務局では、商業・法人登記事項証明書の請求書様式や記載例も案内されています。
初めて取得する場合は、提出先から指定された証明書の種類を確認してから申請書を書くとスムーズです。
郵送で請求する手順
郵送で請求する場合は、一般的に次のような流れになります。
- 商業・法人登記事項証明書の交付申請書を準備する
- 必要事項を記入する
- 手数料を納付するための収入印紙などを準備する
- 返信用封筒を用意する
- 必要書類をまとめて法務局へ郵送する
- 登記事項証明書が郵送される
郵送請求では、記入漏れや手数料の不足があると手続きに時間がかかる可能性があります。
急いで提出する必要がある場合は、郵送にかかる日数も考慮しましょう。
オンラインで請求する手順
オンライン請求では、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を利用して登記事項証明書の交付を請求できます。法務局もオンライン請求を利用した証明書の取得方法を案内しています。
基本的な流れは次のとおりです。
- オンラインの証明書請求サービスへアクセスする
- 会社・法人を検索する
- 必要な証明書の種類を選択する
- 交付方法を指定する
- 手数料を電子納付する
- 郵送または窓口で証明書を受け取る
オンライン請求では、証明書そのものをオンラインで取得するのではなく、証明書の交付請求をインターネットから行い、郵送または窓口で受け取る方法が基本です。
取得時に会社の情報は何が必要?
自社や取引先の会社について請求する場合、基本的には会社を特定できる情報を用意します。
代表的なのは次の情報です。
- 商号・名称
- 本店所在地
- 会社法人等番号
特に会社法人等番号が分かっていると、同名・類似名の会社と取り違えるリスクを抑えやすくなります。
登記情報提供サービスでは、商号・名称、フリガナ、会社法人等番号などから会社・法人を検索できます。なお、登記事項証明書の請求自体は、会社の代表者本人でなくても可能です。
商業登記簿謄本の取得にかかる費用
商業登記簿謄本(登記事項証明書)の取得には、請求方法に応じた手数料がかかります。2026年8月現在、書面で請求する場合は1通600円、オンラインで請求する場合は受け取り方法によって490円または520円です。オンライン請求は窓口での書面請求より手数料を抑えられるため、費用をできるだけ抑えたい場合にも利用しやすい方法です。ここでは、それぞれの取得方法にかかる費用と、料金が異なる理由について詳しく解説します。
窓口で取得する場合
2026年8月現在、登記事項証明書を法務局の窓口で書面請求する場合の手数料は、1通600円です。また、1通の枚数が50枚を超える場合には、超える枚数50枚までごとに100円が加算されます。
一般的な会社の登記事項証明書であれば、通常は1通600円を目安に考えておけばよいでしょう。ただし、履歴事項全部証明書など、記載内容によっては枚数が多くなることもあるため、複数通を取得する場合などは合計額も確認しておくと安心です。
郵送で取得する場合
法務局へ郵送で請求する場合も、登記事項証明書そのものの手数料は書面請求と同じ扱いとなり、2026年8月現在は1通600円です。これに加えて、証明書を返送してもらうための郵送料などが必要になります。
そのため、郵送で取得する場合は「証明書の手数料+郵送に必要な費用」と考えておくと分かりやすいでしょう。窓口へ行く時間を省ける一方で、郵送にかかる日数や費用も発生するため、提出期限がある場合は余裕を持って請求することが大切です。
オンラインで請求する場合
オンライン請求は、窓口で書面請求するよりも手数料が安く設定されています。2026年8月現在、登記事項証明書は、オンラインで請求して郵送で受け取る場合が1通520円、オンラインで請求して窓口で受け取る場合が1通490円です。
窓口で書面請求する場合は1通600円のため、オンライン請求を利用すると手数料を抑えることができます。特に、オンラインで請求したうえで窓口交付を選択すれば、書面請求より110円安く取得できます。
一方、オンライン請求で郵送を選択する場合は、上記の手数料とは別に郵送料が必要です。そのため、費用をできるだけ抑えたい場合は、オンラインで請求して窓口で受け取る方法が適しています。郵送で受け取りたい場合は、手数料に加えて郵送料も含めた金額で比較するとよいでしょう。
取得方法によって費用が異なる理由
オンライン請求の手数料が安く設定されているのは、インターネット上で請求手続きを行うことで、窓口での受付などにかかる事務負担を抑えられるためです。法務局も、オンラインによる証明書交付請求は窓口での請求より手数料が安くなることを案内しています。
例えば、オンラインで請求して窓口で受け取る場合は1通490円となり、書面で窓口請求する場合より110円安くなります。急いで法務局の窓口へ申請書を提出する必要がなければ、オンライン請求は費用と手間の両面で利用しやすい方法といえるでしょう。
なお、登記内容を確認するだけで、提出用の証明書そのものが必要ない場合には、「登記情報提供サービス」という別のサービスもあります。ただし、そこで取得した登記情報は登記事項証明書の代わりとして提出できない場合があるため、提出先から証明書を求められている場合は注意が必要です。
商業登記簿謄本を取得するときの注意点
商業登記簿謄本を取得するときは、単に会社の登記情報を取得すればよいとは限りません。提出先によって必要な証明書の種類や発行時期などの条件が異なるため、事前に確認しておかないと、取得し直しが必要になる場合があります。また、会社の登記変更を行った直後などは、最新の情報が証明書に反映されているかにも注意が必要です。ここでは、商業登記簿謄本を取得する前に確認しておきたい主な注意点について解説します。
提出先に必要な書類を確認する
登記簿謄本」という言葉だけでは、必要な証明書の種類まで特定できない場合があります。提出先によっては「履歴事項全部証明書」「現在事項全部証明書」「代表者事項証明書」など、具体的な書類を指定されることがあります。
必要な種類が分からないまま取得すると、せっかく取得した証明書が使えず、取り直しになる可能性があります。取得前に提出先へ必要な書類を確認し、指定された名称に合った証明書を請求しましょう。
必要な証明内容を確認してから請求する
登記事項証明書には複数の種類があり、それぞれ確認できる情報の範囲が異なります。現在の登記事項を確認したいのか、過去の変更履歴まで確認したいのかによって、適した証明書を選ぶ必要があります。
「とりあえず全部事項証明書を取ればよい」と判断せず、何のために証明書が必要なのかを整理してから請求することが大切です。提出先が確認したい内容に合った証明書を選ぶことで、余計な手間を防げます。
提出先が定める発行時期を確認する
提出先によっては、「発行後3か月以内」など、登記事項証明書の発行時期について条件を設けていることがあります。証明書そのものに一律の有効期限があるわけではありませんが、提出先側で発行からの期間を指定する場合があります。
以前取得した証明書を使用する場合は、その証明書が提出先の条件を満たしているか確認しましょう。特に行政手続きや金融機関への提出では、発行時期の条件を事前に確認しておくと安心です。
最新の登記内容が反映されているか確認する
会社の商号、本店所在地、代表者などを変更した直後は、変更登記の完了前後で登記内容が異なる場合があります。そのため、最新情報が必要な手続きでは、変更内容が証明書に反映されているか確認することが重要です。
特に契約や許認可申請、金融機関での手続きなどに使用する場合は、登記変更が完了したことを確認してから証明書を取得すると安心です。取得後も、必要な情報が正しく記載されているか確認してから提出しましょう。
商業登記簿謄本と混同しやすい書類・情報
会社に関する情報を確認する際には、商業登記簿謄本(登記事項証明書)と似たような役割を持つ書類やサービスがいくつかあります。しかし、それぞれ確認できる情報や証明書としての性質が異なるため、目的に合ったものを選ぶことが大切です。例えば、登記情報をインターネットで確認する方法や、会社の印鑑を証明する書類、会社の基本的なルールを確認できる定款などがあります。ここでは、商業登記簿謄本と混同しやすい書類・情報について、それぞれの違いを分かりやすく解説します。
登記情報提供サービスで取得できる情報
「登記情報提供サービス」は、インターネット上で不動産や会社・法人の登記情報を確認できるサービスです。2026年4月1日以降、商業・法人登記情報の全部事項は1件330円で提供されています。
ただし、登記情報提供サービスで確認できる「登記情報」と、法務局が発行する「登記事項証明書」は同じものではありません。
登記情報提供サービスは、登記内容を確認したいときには便利ですが、提出先から「登記事項証明書」を指定されている場合には、法務局が交付する証明書を取得する必要があります。
会社の印鑑証明書
印鑑証明書は、会社が法務局に届け出た印鑑について証明する書類です。登記事項証明書が会社の商号や本店、代表者などの「登記内容」を証明するのに対し、印鑑証明書は登録された会社代表者の印鑑を証明する点が大きな違いです。
また、登記事項証明書は誰でも取得できますが、会社の印鑑証明書には印鑑カードなどが必要です。
不動産売買や重要な契約などでは、両方の書類を求められることもあります。
定款
定款は、会社の基本的なルールを定めた書類です。会社の目的や商号など、登記簿と重なる内容が含まれることもありますが、定款は会社自身が作成・保管する基本規則であり、法務局が発行する登記事項証明書とは性質が異なります。
また、定款の記載内容と登記されている内容がすべて同一とは限りません。
法人番号に関する情報
法人番号は、法人に対して国税庁から指定される13桁の番号です。会社を識別する番号として便利ですが、法人番号の情報だけで、登記事項証明書に記載されているすべての内容を確認できるわけではありません。法人番号を調べることと、登記内容を証明することは別の手続きです。
それぞれの書類で確認できる情報の違い
会社に関する書類にはさまざまな種類があり、それぞれ確認できる情報や役割が異なります。登記事項証明書では、商号や本店所在地、会社の目的、役員、資本金など、法務局に登記されている会社の基本情報を確認できます。一方、登記情報提供サービスはインターネット上で登記情報を確認するためのサービスであり、登記事項証明書そのものとは異なります。
また、会社の代表者印が登録されたものであることを証明したい場合には印鑑証明書を使用します。定款には、会社の目的や機関設計など、会社の基本的なルールが記載されています。法人番号に関する情報では、法人番号や法人の基本的な公開情報などを確認できます。
このように、「会社について何を確認したいのか」によって、適した書類は変わります。会社の現在の登記内容を証明したい場合は登記事項証明書、代表者印を証明したい場合は印鑑証明書、会社の基本的なルールを確認したい場合は定款を利用するなど、目的に応じて使い分けることが大切です。
まとめ|商業登記簿謄本とは会社の登記内容を確認・証明するための書類
商業登記簿謄本とは、一般的に会社の登記事項証明書を指す言葉で、商号や本店所在地、会社の目的、資本金、役員など、法人の基本的な登記情報を確認・証明するために使われる書類です。法人との取引や銀行口座の開設、融資、契約、行政手続き、不動産取引など、さまざまな場面で必要になることがあります。
取得方法には、法務局の窓口、郵送、オンライン請求があり、2026年8月現在の手数料は、書面請求が1通600円、オンライン請求は郵送での交付が520円、窓口交付が490円です。取得する際は、「登記簿謄本」という呼び方だけで判断せず、提出先が指定する証明書の種類を確認することが大切です。履歴事項全部証明書や現在事項証明書など、目的に合った証明書を選ぶことで、取り直しなどの手間を防ぎ、手続きをスムーズに進められます。

