就任承諾書のひな型をすぐ確認したい方へ
就任承諾書は、役員として就任する本人が、その就任を承諾したことを示すための書類です。取締役や代表取締役、監査役、設立時役員など、就任する役職や会社の状況によって記載内容や必要となる書類が異なるため、ひな型を確認しながら作成するとスムーズです。
ここでは、一般的な株式会社で使用される就任承諾書のひな型を、役職や会社設立時などのケース別に紹介します。実際に作成するときは、自社の機関設計や登記手続きに合わせて内容を調整してください。
取締役の就任承諾書のひな型
取締役として選任された場合は、次のような形式が基本になります。
就任承諾書
私は、令和〇年〇月〇日開催の株主総会において、取締役に選任されましたので、その就任を承諾します。
令和〇年〇月〇日
住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
氏名 〇〇〇〇 印
株式会社〇〇〇〇 御中
実際の登記に使用する場合は、住所や氏名を住民票・印鑑証明書などの公的書類と照合しておきましょう。法務局の公開例でも、就任承諾書には就任を承諾する旨、日付、住所、氏名などを記載する形式が示されています。
代表取締役の就任承諾書のひな型
代表取締役に就任する場合は、どの機関で代表取締役に選定されたのかを明確にすると分かりやすくなります。
就任承諾書
私は、令和〇年〇月〇日開催の取締役会において、代表取締役に選定されましたので、その就任を承諾します。
令和〇年〇月〇日
住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
氏名 〇〇〇〇 印
株式会社〇〇〇〇 御中
なお、取締役会設置会社では、取締役会で代表取締役を選定するケースが一般的です。一方、取締役会を設置していない会社では、株主総会や取締役の互選など、定款・機関設計に応じて代表取締役の選定方法が変わります。
代表取締役の就任承諾書についても、取締役会議事録などに席上で就任を承諾した旨や住所・氏名などが適切に記載されている場合、別途の就任承諾書を省略できるケースがあります。
監査役の就任承諾書のひな型
監査役の場合も、基本的な構成は取締役と大きく変わりません。
就任承諾書
私は、令和〇年〇月〇日開催の株主総会において、監査役に選任されましたので、その就任を承諾します。
令和〇年〇月〇日
住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
氏名 〇〇〇〇 印
株式会社〇〇〇〇 御中
監査役についても、株主総会議事録に選任された本人が席上で就任を承諾した旨と住所・氏名が記載されていれば、就任承諾書の添付を省略できる場合があります。
設立時役員に使用する就任承諾書のひな型
会社設立時は、「取締役」ではなく「設立時取締役」として記載するのが基本です。
就任承諾書
私は、令和〇年〇月〇日、貴社の設立時取締役に選任されたので、その就任を承諾します。
令和〇年〇月〇日
住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
氏名 〇〇〇〇 印
〇〇商事株式会社 御中
設立時代表取締役や設立時監査役についても、役職に合わせて文言を変更します。
法務局が公開している株式会社設立登記の記載例でも、設立時取締役についてこのような就任承諾書の例が示されています。取締役会を設置しない会社では、設立時取締役の就任承諾書に市町村へ登録した印鑑を押す必要があるとされています。
就任承諾書とは?何のために作成する書類?
就任承諾書とは、会社の役員として選任された人が、その役職への就任を承諾したことを示す書類です。取締役や監査役などは株主総会で選任されますが、選任された事実とは別に、本人が就任を承諾したことを証明する書面が必要になる場合があります。
会社設立時や役員変更時の登記手続きで使用されることが多く、役職や会社の機関設計によって必要な書類や記載内容が異なります。
就任承諾書は役員就任への意思を示す書類
取締役や監査役は、原則として株主総会の決議によって選任されます。しかし、会社側が役員として選任したことと、選任された本人がその役職への就任を承諾したことは、分けて考える必要があります。
そこで、本人が役員への就任を承諾した事実を明確にする方法の一つとして、就任承諾書が用いられます。登記手続きでは、就任を承諾したことを証する書面が必要となるケースがあるため、役員変更などの際には就任承諾書の要否を確認しておきましょう。
なお、就任承諾書は「役員に選ばれたことを証明する書類」ではなく、選任された本人が、その就任を受け入れたことを示す書類という点がポイントです。
会社設立時と役員変更時で使用するケース
就任承諾書は、主に会社を設立するときや、既存の会社で役員を変更するときに使用します。
会社設立時は、設立時取締役や設立時監査役などに選任された人が、その就任を承諾したことを証明するために作成します。取締役会を設置する会社では、設立時代表取締役を選定する必要があるなど、会社の機関設計によって必要な書類が異なる点にも注意が必要です。
一方、役員変更時は、新たに取締役や監査役を選任した場合などに就任承諾書を使用します。代表取締役が交代する場合にも、就任を承諾したことを証明する書面が必要になることがあります。また、任期満了後に同じ役員が再任される「重任」の場合も役員変更登記が必要となるため、必要書類を確認しておきましょう。
就任承諾書と登記の関係
就任承諾書を作成することと、登記申請時に就任承諾書を添付することは、必ずしも同じではありません。
役員変更登記などでは、原則として就任を承諾したことを証明する書面が必要になります。ただし、株主総会議事録や取締役会議事録に、本人がその場で就任を承諾した旨などが適切に記載されている場合には、その議事録を就任承諾書の代わりとして扱えるケースがあります。
そのため、「役員に就任したら必ず別紙の就任承諾書を作成しなければならない」とは限りません。会社の機関設計や役員の選任・選定方法、議事録の記載内容などを確認したうえで、必要な書類を準備することが重要です。
就任承諾書に記載する項目
就任承諾書を作成するときは、「誰が・いつ・どの役職に就任することを承諾したのか」が明確になるように記載することが大切です。基本的な項目を押さえておけば、ひな型を使って作成する場合でも内容を確認しやすくなります。
就任を承諾する旨の文章
まず、役員として就任することを承諾する旨を記載します。例えば取締役の場合は、「私は、令和〇年〇月〇日開催の株主総会において、取締役に選任されましたので、その就任を承諾します。」などと記載します。
単に「就任します」とするのではなく、どの役職に選任され、その就任を承諾したのかが分かるようにすることがポイントです。
選任された日付・就任承諾の日付
選任された日付と、本人が就任を承諾した日付も記載します。特に、株主総会の開催日と就任承諾日が異なる場合は注意が必要です。
新たに取締役が就任した場合、登記申請の期限は原則として就任を承諾した日を基準に考えます。株主総会に出席してその場で就任を承諾した場合は、株主総会の決議日と就任承諾日が同じになります。そのため、実際の就任承諾のタイミングと書類の日付を一致させることが重要です。
役員の住所
就任する役員本人の住所を記載します。登記手続きに使用する場合は、住民票や印鑑証明書などの公的書類と表記をそろえておくと安心です。
マンション名や部屋番号などを省略すると、ほかの登記関係書類と住所が一致しなくなる可能性があるため、作成後に各書類を見比べて確認しましょう。
役員の氏名
就任する役員の氏名も正確に記載します。誤字や旧字体の違いがないか、本人確認書類やほかの登記関係書類と照らし合わせて確認しておくことが大切です。
特に、普段使用している氏名の表記と公的書類の表記が異なる場合は、登記に使用する書類との整合性にも注意しましょう。
会社名
就任承諾書には、宛先となる会社名も記載します。一般的には「株式会社〇〇〇〇 御中」のように記載します。
会社設立時に作成する場合も、設立する会社の商号を正確に記載しましょう。定款や登記申請書など、ほかの設立関係書類と商号が一致しているか確認しておくと安心です。
押印欄
押印の扱いは、役職だけでなく、会社の機関設計や登記方法によって異なります。そのため、「就任承諾書には必ず実印を押す」と一律に考えることはできません。
一方で、取締役会を設置していない会社の新任取締役など、就任承諾書に市町村へ登録した印鑑を押し、印鑑証明書を添付する必要があるケースもあります。作成する際は、自社の機関設計や登記申請の方法を確認したうえで、必要な押印を行いましょう。
就任承諾書の作成方法をケース別に解説
就任承諾書は、就任する役職や会社設立時・役員変更時などの状況によって、記載する内容が少しずつ異なります。ここでは、代表的なケースごとに作成時のポイントを解説します。
取締役として就任する場合
取締役は、原則として株主総会の決議によって選任されます。そのため、就任承諾書には「令和〇年〇月〇日開催の株主総会において、取締役に選任されましたので、その就任を承諾します」といった形で、選任された事実と就任を承諾する意思を記載します。
複数の取締役が同時に就任する場合も、それぞれの役員について就任を承諾したことが確認できるように書類を準備しておくとよいでしょう。
代表取締役に就任する場合
代表取締役の選定方法は、取締役会を設置しているかどうかなど、会社の機関設計によって異なります。取締役会設置会社では、原則として取締役会で代表取締役を選定します。
そのため、取締役会で選定された場合は、「令和〇年〇月〇日開催の取締役会において、代表取締役に選定されましたので、その就任を承諾します」のように、実際の選定機関に合わせて記載することが大切です。
監査役に就任する場合
監査役は、原則として株主総会の決議によって選任されます。就任承諾書には、選任された日付や「監査役として就任することを承諾する」旨を記載します。
取締役用のひな型を使用する場合は、役職名の変更漏れがないよう注意しましょう。株主総会議事録などの他の書類とも、役職名や日付が一致しているか確認することが重要です。
設立時取締役として就任する場合
会社設立時に作成する場合は、通常の役員変更時とは異なり、「設立時取締役」という表現を使用します。例えば、「私は、貴社の設立時取締役に選任されたので、その就任を承諾します」といった形です。
設立時の就任承諾書については、会社の設立方法や定款の内容によって取り扱いが異なる場合があります。オンライン申請では、一定の要件を満たす場合に就任承諾書の添付を省略できるケースもあるため、設立方法に応じて必要書類を確認しましょう。
役員が再任される場合
任期満了後に同じ人が引き続き役員を務める場合は「重任」となります。役員本人が変わらなくても、任期満了と再任によって登記事項に変更が生じるため、役員変更登記が必要です。
重任の場合も、就任承諾書を別途作成する必要があるかどうかは、議事録の記載内容などによって異なります。実際の登記手続きでは、株主総会議事録などの内容を確認し、必要な書類を準備しましょう。
就任承諾書を作成するときの注意点
就任承諾書は記載する内容が比較的少ない書類ですが、登記手続きで使用する場合は、住所や日付、役職名などを正確に記載する必要があります。ここでは、作成時に特に確認しておきたいポイントを紹介します。
住所は印鑑証明書などの記載と確認する
住所は、本人が普段使用している表記ではなく、印鑑証明書や住民票など、登記手続きで使用する書類との整合性を確認しましょう。
特に、都道府県名や市区町村以下の住所、丁目・番・号、マンション名・部屋番号などに違いがないか確認することが大切です。ほかの登記関係書類とも照らし合わせ、表記を統一しておくと安心です。
日付は選任・就任のタイミングに注意する
就任承諾書の日付は、登記申請の期限にも関係するため注意が必要です。
株式会社の登記は、原則として登記すべき事由が発生した日から2週間以内に申請します。新たに取締役が就任する場合は、就任を承諾した日が起算点となるケースがあるため、株主総会の開催日だけで判断しないようにしましょう。
役職名を正確に記載する
「取締役」「代表取締役」「監査役」「設立時取締役」など、実際に就任する役職と就任承諾書の記載を一致させます。
特に代表取締役の場合は、取締役としての選任と代表取締役としての選定が別の手続きになることがあります。それぞれの議事録などと照らし合わせ、役職名や日付に誤りがないか確認しましょう。
押印が必要になるケースを確認する
就任承諾書の押印については、すべてのケースで同じ扱いになるわけではありません。例えば、取締役会を設置していない会社で新たに取締役が就任する場合は、就任承諾書に市町村に登録した印鑑を押し、印鑑証明書を添付するケースがあります。
一方、取締役会設置会社では、新任取締役と代表取締役で必要な書類が異なる場合があります。会社の機関設計や登記方法を確認したうえで、必要な押印・証明書を準備しましょう。
会社の機関設計によって必要書類が変わる点に注意する
就任承諾書の作成では、「株式会社ならすべて同じ手続き」と考えないことが重要です。取締役会を設置しているかどうか、代表取締役をどのように選定するか、新任なのか再任なのか、会社設立時なのか設立後の役員変更なのかによって、必要となる書類やその扱いが変わります。
そのため、ひな型をそのまま使用するのではなく、自社の機関設計や役員の選任方法を確認したうえで書類を作成しましょう。登記申請前には、法務局が公開している申請書・添付書面の記載例なども確認しておくと安心です。
就任承諾書に印鑑証明書は必要?
就任承諾書と印鑑証明書はセットで考えられがちですが、全員に同じ対応が必要なわけではありません。誰の印鑑証明書が必要なのかは、会社の機関設計や役職によって確認する必要があります。
印鑑証明書の提出が必要になるケース
代表的なのは、取締役会を設置していない株式会社で、新任取締役が就任する場合です。法務局の案内では、新たに就任した取締役の就任承諾書について、市町村に登録した印鑑を押し、その印鑑について市町村長が作成した印鑑証明書を添付する扱いが示されています。
ただし、オンライン申請で就任承諾書に代わるPDF等に本人の電子署名を付し、電子証明書を送信する場合には、別途印鑑証明書が不要となる場合があります。
取締役会を設置している会社の場合
取締役会設置会社では、新任取締役と代表取締役で扱いが異なる点に注意が必要です。法務局の案内では、取締役会設置会社で新たに就任した取締役について、就任承諾書に住所・氏名を記載し、一定の場合には本人確認証明書を添付する扱いが示されています。
代表取締役については、就任承諾書に市町村登録印を押し、その印鑑について印鑑証明書を添付する扱いが示されています。ただし、就任承諾書に代わる電子データへの電子署名など、別の方法を利用できる場合があります。
取締役会を設置していない会社の場合
取締役会を設置していない会社では、取締役の就任承諾書に市町村登録印を押し、その印鑑証明書を添付するケースがあります。また、代表取締役を株主総会で選定するのか、取締役の互選で選定するのかなどによっても、必要となる書類が変わります。
したがって、「取締役会なし=全員実印」と単純化するのではなく、実際の選任・選定方法を確認することが大切です。
印鑑証明書の取得時期にも注意
登記申請に使用する印鑑証明書は、単に取得してあればよいというものではなく、実際に使用する印鑑や書類との関係を確認する必要があります。
会社設立の場合も、設立時代表取締役の印鑑証明書など、役職・会社の機関設計によって必要な書類が異なります。法務局の設立登記の案内では、就任承諾書に押した印鑑に関する印鑑証明書や、役員の本人確認証明書について具体的な扱いが示されています。
就任承諾書は登記申請で必ず必要?
就任承諾書を作成した場合でも、登記申請時に必ず別紙で添付しなければならないとは限りません。重要なのは、役員本人が就任を承諾した事実を、登記申請の添付書類によって確認できるかどうかです。
原則として添付するケース
別途作成した就任承諾書は、役員の就任を証明する書面として登記申請に添付できます。新たに取締役や監査役が就任する場合などは、就任承諾書を添付して申請するケースが一般的です。
株主総会議事録で就任承諾を記載した場合
株主総会議事録に、役員が選任されたことに加えて、本人がその場で就任を承諾した旨や住所・氏名などが適切に記載されていれば、別途の就任承諾書を省略できる場合があります。
この場合は、就任承諾書を別に作成するのではなく、株主総会議事録の記載を就任承諾書に代える形で手続きします。
「席上承諾」で省略できるケース
席上承諾とは、株主総会などで役員に選任された本人が、その場で就任を承諾することです。
たとえば、株主総会議事録に「〇〇氏が取締役に選任され、本人は席上で就任を承諾した」といった内容を記載しておけば、別途の就任承諾書を作成しなくてもよい場合があります。
ただし、本人が株主総会に出席していたという事実だけでは、就任を承諾したことの証明にはなりません。議事録から就任承諾の事実が確認できるように記載することが大切です。
就任承諾書を別途作成しておくメリット
就任承諾書を省略できるケースでも、別途作成しておくことにはメリットがあります。就任を承諾した事実を単独の書面で確認できるほか、株主総会議事録の記載を簡潔にしたり、登記申請時の添付書類を整理したりしやすくなります。
また、後から役員の就任日や承諾日を確認する必要が生じた場合にも、就任承諾書があれば確認しやすくなります。省略できるかどうかだけでなく、会社の書類管理のしやすさも考慮して作成方法を選ぶとよいでしょう。
就任承諾書に収入印紙は必要?
就任承諾書を作成するとき、「収入印紙を貼る必要があるのでは?」と疑問に思う方もいるでしょう。結論として、一般的な役員の就任承諾書には、通常、収入印紙を貼る必要はありません。
就任承諾書が課税文書に該当するか
印紙税の対象となるかどうかは、書類のタイトルだけで決まるものではありません。記載されている内容や、その文書がどのような目的で作成されたのかを踏まえて判断する必要があります。
そのため、「承諾書という名前だから必ず非課税」と単純に判断するのではなく、実際の記載内容を確認することが大切です。
印紙を貼る必要がない理由
一般的な就任承諾書は、役員に就任する本人がその意思を示すための書類であり、登記手続きなどに使用されます。このような通常の就任承諾書は、印紙税法上の課税文書には該当しないため、収入印紙を貼る必要はありません。
ただし、就任承諾書に役員報酬や業務委託など、別の契約に関する内容を盛り込んでいる場合は注意が必要です。書類の実質的な内容によっては、印紙税の取り扱いが変わる可能性があります。
そのため、単純な就任承諾の意思表示を記載する書類と、役員報酬や契約条件などを定める書類は分けて作成すると、印紙税の判断もしやすくなります。
就任承諾書は電子データでも作成できる?
就任承諾書は、紙に印刷して押印する方法だけでなく、一定の要件を満たせば電子データで作成・提出することもできます。特にオンラインで登記申請を行う場合は、電子署名を利用した就任承諾書などの添付書面情報を提出できるケースがあります。
電子署名を利用する場合の考え方
電子データで就任承諾書を提出する場合、単にWordやPDFで書類を作成するだけでは不十分です。登記手続きで利用できる電子署名を付し、必要な電子証明書とあわせて提出する必要があります。
法務局の案内では、就任承諾書に代わるPDFなどの電磁的記録に本人が電子署名を付し、電子証明書を送信することで、紙の書類や印鑑証明書などの提出を省略できるケースが示されています。
オンラインで登記申請する場合の注意点
オンライン申請では、申請書だけでなく、就任承諾書などの添付書面についても電子署名や電子証明書の要件を確認する必要があります。
また、株式会社の設立登記では、マイナンバーカードなどを利用してオンラインで申請できる仕組みもあります。電子署名を利用することで、一部の印鑑証明書などを省略できる場合もあるため、紙で申請する場合との違いを確認しておきましょう。
なお、就任承諾書をPDF化して保存したり、メールで送ったりするだけで電子的な登記書類として扱えるわけではありません。オンライン申請を利用する場合は、電子署名の方法や電子証明書の要件まで確認したうえで準備することが大切です。
就任承諾書を作成した後の登記手続き
就任承諾書を作成したら、次は登記申請に向けて必要な書類をそろえます。ただし、就任承諾書だけを提出すれば手続きが完了するわけではありません。会社の機関設計や役員の就任状況によって必要書類が変わるため、事前に確認しておきましょう。
役員変更登記で準備する主な書類
役員変更登記では、株主総会議事録や株主リスト、取締役会議事録、就任承諾書、印鑑証明書、本人確認証明書などを準備することがあります。代表取締役が交代する場合には、代表取締役の就任承諾書などが必要になるケースもあります。
ただし、これらすべての書類を提出するわけではありません。取締役会を設置しているか、代表取締役をどのように選定したか、新任・重任のどちらなのかなどによって添付書類が異なります。
会社設立時に準備する書類
会社設立時は、就任承諾書のほかにも、定款、設立時取締役を選任したことを証する書面、設立時代表取締役を選定したことを証する書面、印鑑証明書、本人確認証明書、払込みを証する書面などを準備する場合があります。
必要書類は会社の機関設計や定款の内容によって変わるため、設立する会社のケースに合わせて確認することが大切です。
登記申請の期限を確認する
役員変更登記は、原則として変更が生じた日から2週間以内に申請します。新任取締役の場合は、就任を承諾した日が登記期間の起算点となるケースがあります。株主総会の席上で就任を承諾した場合は、株主総会の決議日と同日になります。
期限を過ぎた場合でも登記申請はできますが、登記を怠ったことについて過料の対象となる可能性があるため、就任日や承諾日を確認したうえで早めに手続きを進めましょう。
提出前に書類の内容をチェックする
登記申請前には、就任承諾書とほかの登記関係書類の内容が一致しているか確認します。特に、役職名、選任・選定日、就任承諾日、住所、氏名、押印の有無などは重点的に確認しましょう。
また、株主総会議事録や取締役会議事録との内容に食い違いがないか、印鑑証明書や本人確認証明書が必要な人を確認できているか、登記申請の期限に間に合うかも確認しておくと安心です。複数の書類に記載される「就任日・住所・役職」をまとめて確認すると、不備を見つけやすくなります。
就任承諾書についてよくある質問
就任承諾書を作成する際は、「手書きでなければならないのか」「実印は必要なのか」「日付はいつにするのか」など、細かな点で迷うことがあります。また、役員の再任や代表取締役への就任など、ケースによって扱いが異なる場合もあります。
ここでは、就任承諾書の作成や登記手続きでよくある疑問について、具体的に解説します。
就任承諾書は手書きで作成する必要がありますか?
手書きでなければならないわけではありません。
パソコンで作成して印刷する方法も一般的です。ただし、押印が必要となるケースでは所定の印鑑を押す必要があります。また、オンライン申請では紙の就任承諾書ではなく、電子署名を付した電子データを利用できる場合があります。
就任承諾書に実印は必要ですか?
一律に必要というわけではありません。
取締役会を設置していない会社の新任取締役など、就任承諾書に市町村へ登録した印鑑を押し、その印鑑証明書を添付するケースがあります。
一方、会社の機関設計や役職によって扱いは異なります。そのため、「就任承諾書=必ず実印」と覚えるのではなく、登記申請のケースごとに確認することをおすすめします。
就任承諾書の日付はいつにすればよいですか?
基本的には、実際に就任を承諾した日を記載します。
株主総会に出席し、その場で就任を承諾したのであれば、株主総会の決議日と就任承諾日が同じになることがあります。
一方、株主総会後に別途承諾する場合は、その実際の承諾日を確認する必要があります。就任承諾日は登記申請期限にも関係するため、形式的に日付を合わせるのではなく、実際の手続きと一致させることが重要です。
役員が再任された場合も就任承諾書は必要ですか?
再任の場合も、役員変更登記そのものは必要です。
ただし、就任承諾書の添付が常に必要かどうかは、登記のケースや議事録の記載などによって異なります。法務省は、任期満了後に同じ人が再任された場合でも「重任」として役員変更登記が必要としています。
代表取締役の就任承諾書は取締役のものと別に必要ですか?
代表取締役として新たに選定された場合は、取締役としての就任とは別に、代表取締役としての就任承諾が問題になることがあります。例えば取締役会設置会社で新たな代表取締役を選定した場合、取締役会議事録に本人が席上で代表取締役への就任を承諾した旨などを記載していれば、別途の代表取締役就任承諾書を省略できるケースがあります。
したがって、「必ず2枚必要」と考えるのではなく、取締役としての選任と代表取締役としての選定を分けて確認しましょう。
就任承諾書を紛失した場合はどうすればよいですか?
まず、登記申請がすでに完了しているのか、これから申請するのかを確認します。
これから登記申請する段階で紛失したのであれば、必要な要件を満たす形で改めて作成する方法を検討します。すでに登記申請が完了している場合は、登記所へ提出済みの書類をどう確認・取得できるかを管轄法務局へ確認するとよいでしょう。
なお、就任承諾書を紛失したからといって、登記上の役員資格そのものが直ちに消滅するわけではありません。
まとめ|就任承諾書のひな型を活用して不備なく準備しよう
就任承諾書は、役員として選任された本人が、その就任を承諾したことを示す重要な書類です。書式自体はシンプルですが、登記手続きでは役職や会社の機関設計によって必要な書類や押印の扱いが変わるため、内容を正確に確認する必要があります。
特に、住所・氏名・役職名・選任日・就任承諾日は、ほかの登記関係書類と照らし合わせて確認しましょう。また、取締役会の有無や代表取締役の選定方法によって、印鑑証明書などの必要書類も異なります。
就任承諾書のひな型は、そのまま使用するのではなく、自社の状況に合わせて内容を調整することが大切です。株主総会議事録への席上承諾の記載によって別途の就任承諾書を省略できるケースや、オンライン申請で電子署名を利用できるケースもあるため、実際の手続きに合わせて準備しましょう。
なお、役員変更登記は原則として変更が生じた日から2週間以内に申請する必要があります。書類を作成した後は、各書類の内容や申請期限を確認し、不備のない状態で登記申請を行うことが重要です。最終的な必要書類については、最新の法務局の案内なども確認しながら準備すると安心です。

