法人の解散届出を税務署に提出する際の書き方|異動届出書の記載例や必要書類を解説

目次

法人が解散するときに税務署への届出は必要?

法人を解散するときは、法務局で解散登記を行うだけでなく、税務署にも解散したことを届け出る必要があります。税務上は、法人の解散が「異動」に該当するため、原則として「異動届出書」を提出します。

ただし、解散した時点ですべての税務手続きが終わるわけではありません。解散後も法人税の申告や消費税、源泉所得税などの手続きが必要になる場合があり、清算結了時にも別途確認が必要です。

ここでは、法人が解散するときに税務署への届出が必要な理由や、解散登記との違い、解散と清算結了の関係について詳しく解説します。

法人の解散とは

法人の解散とは、法人としての事業活動を終了し、法人の財産を整理して清算するための手続きに入ることです。株式会社の場合、株主総会の決議などによって解散すると、原則として清算手続きへ移行します。解散後は、通常の営業活動を続けるのではなく、売掛金の回収、債務の弁済、資産の処分などを行い、最終的に残った財産を株主などへ分配します。

ここで注意したいのが、「解散」と「法人そのものが消滅すること」は同じではない点です。解散した法人は、清算が完了するまで清算目的の範囲で存続します。そのため、解散後も税務上の手続きや申告が必要になります。

解散登記だけでは税務上の手続きは完了しない

法人を解散すると、法務局で解散登記を行います。しかし、法務局への解散登記と税務署への届出は別の手続きです。法務局から税務署へ解散の情報が自動的にすべて届くことを前提にしてはいけません。税務上も法人の状態が「解散」に変わったことを届け出る必要があります。

国税庁では、法人の解散・清算結了を「異動届出書」の対象として明示しています。したがって、一般的には次のように手続きを進めます。

  1. 株主総会などで解散を決議する
  2. 法務局で解散登記・清算人の登記を行う
  3. 税務署へ異動届出書を提出する
  4. 都道府県・市区町村にも必要な届出を行う
  5. 解散後に必要な法人税等の申告を行う
  6. 清算手続きを進める
  7. 清算結了登記を行う
  8. 清算結了についても必要な税務上の届出を行う

解散時は税務署に「異動届出書」を提出する

法人が解散した場合、税務署へ提出する基本的な書類が「異動届出書」です。異動届出書は、事業年度の変更、納税地の異動、代表者の変更、商号変更など、法人に一定の異動があった場合に使用する届出書です。法人の解散や清算結了も対象に含まれています。

また、消費税についても異動事項を届け出る場合、異動届出書の「消費税」の欄を適切に選択して提出することで、一定の場合には別途「法人の消費税異動届出書」を提出する必要がない仕組みになっています。

「解散」と「清算結了」は別の手続き

法人の解散と清算結了は同じではありません。解散は、法人が通常の事業活動を終了して清算手続きに入ることです。

一方、清算結了は、資産・負債の整理や残余財産の分配など、清算手続きが終了した状態を指します。

そのため、解散時に異動届出書を提出した後、清算手続きが終わった段階でも「清算結了」に関する届出を検討する必要があります。国税庁の異動届出書は、解散だけでなく清算結了も対象としています。

法人の解散時に税務署へ提出する届出書

法人を解散するときは、税務署に解散の事実を届け出るだけでなく、法人の状況に応じて複数の税務手続きを確認する必要があります。基本となるのは「異動届出書」ですが、解散後の申告や給与の支払い、消費税の課税状況などによって、追加の届出が必要になる場合があります。

また、解散と清算結了では必要な手続きが異なるため、「解散時に提出する書類」と「清算が完了したときに行う手続き」を分けて考えることが大切です。

ここでは、法人の解散時に税務署へ提出する主な届出書や、法人の状況に応じて必要となる手続きについて解説します。

異動届出書

法人の解散時にまず確認したいのが「異動届出書」です。

異動届出書には、法人名、法人番号、納税地、代表者氏名などの基本情報に加えて、異動事項、異動前、異動後、異動年月日などを記載します。現在の国税庁様式では、法人税・消費税のどちらを対象とする届出なのかも確認して記載する形式になっています。

法人税の確定申告書

解散したからといって、法人税の申告が不要になるわけではありません。解散した法人は、その後も清算が完了するまで税務上の申告が必要になる場合があります。特に重要なのが、解散した事業年度の申告と、清算中に終了する事業年度の申告、そして残余財産が確定した場合の申告です。

実際の申告時期や申告書の種類は、解散日、事業年度、清算の進行状況などによって異なるため、個別に確認する必要があります。なお、国税庁は現在の法人税申告書・別表等を公開しており、令和8年4月1日以後終了事業年度等分の様式も掲載しています。

消費税に関する届出が必要になる場合

消費税の課税事業者である法人や、適格請求書発行事業者として登録している法人などは、解散に伴って消費税関係の手続きも確認しましょう。法人の消費税に関する異動については、「法人の消費税異動届出書」があります。国税庁では、納税地等に異動があった場合は速やかに提出する手続きを案内しています。

ただし、法人税の異動届出書で消費税に関する異動事項を届け出ることで、別途の消費税異動届出書が不要となるケースがあります。インボイス制度への登録状況などによって必要な手続きが変わるため、登録事業者の場合は特に確認が必要です。

給与支払事務所等の廃止届出書が必要になる場合

解散に伴って給与の支払いを行う事務所等を廃止する場合は、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出も確認します。国税庁によれば、給与支払事務所等を廃止した場合は、原則として廃止の日から1か月以内に届出書を提出します。

解散後も従業員への給与や役員への支払いが発生するケースでは、単純に「解散=給与支払事務所の廃止」と判断せず、実際の給与支払事務の終了時期を確認することが大切です。

その他の状況に応じて必要となる届出

法人によっては、次のような税務手続きも確認する必要があります。

  • 消費税に関する各種届出
  • 適格請求書発行事業者に関する手続き
  • 源泉所得税に関する手続き
  • 給与支払事務所等の廃止届出
  • 税務代理に関する手続き
  • 事業年度等に関する手続き

つまり、「異動届出書を1枚提出すれば解散に関する税務手続きがすべて終わる」と考えるのは危険です。法人の状況を確認して、必要な書類を一覧化してから手続きを進めると漏れを防ぎやすくなります。

法人の解散に関する異動届出書の書き方

法人の解散を税務署へ届け出る際は、「異動届出書」に解散に関する情報を記載して提出します。異動届出書には法人名や納税地などの基本情報に加え、「異動事項等」「異動前」「異動後」「異動年月日」などの項目があるため、解散時にどのように記入するのか迷うことも少なくありません。

特に、解散日と解散登記を行った日が異なる場合や、解散と同時に代表者などの情報が変わる場合は、記載内容を整理しておくことが大切です。

ここでは、法人の解散に関する異動届出書について、各項目の意味を確認しながら、何をどのように記載すればよいのか順番に解説します。

①「提出法人」の基本情報を記入する

まず、提出する法人の基本情報を記入します。主に確認する項目は次のとおりです。

  • 本店または主たる事務所の所在地
  • 納税地
  • 法人等の名称
  • 法人番号
  • 代表者氏名
  • 代表者住所

法人番号などは登記事項や法人番号公表サイトなどと照合し、誤りがないように記載します。

②「法人名・納税地・代表者氏名」を記入する

法人名や納税地は、解散前の法人情報を基本として記載します。法人名については、登記上の商号と表記を合わせることが重要です。

また、納税地と本店所在地が異なる法人の場合は、単純に本店所在地だけを記載しないよう注意しましょう。

③「異動事項等」には解散と記載する

「異動事項等」には、今回税務署へ届け出る異動の内容を記載します。法人の解散を届け出る場合は、基本的に「解散」と記載すれば問題ありません。解散に加えて、代表者の変更や納税地の変更など、ほかの異動事項が同時に発生している場合は、それらについても漏れなく記載します。異動届出書を作成する際は、登記事項証明書などを確認し、今回どのような変更が生じたのかを整理してから記入するとよいでしょう。

④「異動前」には解散前の内容を記載する

「異動前」には、解散前の法人の状態を記載します。解散そのものを届け出る場合、所在地などが変わっていなければ、異動前・異動後の欄に無理に所在地を変更して記載する必要はありません。

一方、解散に伴って代表者が変わるなど、別の異動が生じている場合には、その内容に応じて異動前・異動後を区別します。

⑤「異動後」には清算人の情報を記載する

解散すると、通常の代表取締役に代わって清算人が清算事務を行います。そのため、解散に伴って代表者に関する情報が変更される場合は、異動後の情報と登記内容を一致させることが重要です。

ただし、異動届出書の記載方法は、どの情報に異動が生じたのかによって変わります。国税庁の様式自体は「代表者氏名」などの法人情報を記載する形式で、解散専用の「清算人」欄が設けられているわけではありません。

そのため、「解散したら必ず異動後欄に清算人の情報をすべて記載する」と機械的に考えるのではなく、解散登記後の登記事項と税務署への届出内容を確認して記載することが大切です。

⑥「異動年月日」には解散日を記載する

異動年月日には、今回の異動が発生した日を記載します。

解散の場合は、原則として法人が法律上解散した日を基準に考えます。

注意したいのが、解散日と解散登記をした日が必ずしも同じとは限らないことです。

例えば、株主総会で6月30日を解散日と決議し、解散登記を7月3日に行った場合、実際の解散日は6月30日です。

ただし、異動届出書には「異動年月日(登記年月日)」という表記があるため、登記内容と届出内容に不一致が生じないよう、具体的なケースでは登記簿や議事録を確認して記載しましょう。

⑦「備考・その他参考となるべき事項」を確認する

「その他参考となるべき事項」の欄は、今回の異動について税務署へ伝えるべき情報がある場合に活用します。例えば、解散後の清算人、事業年度、給与支払事務所などについて特記事項がある場合には、記載の必要性を確認します。

ただし、必要以上に情報を書き込むのではなく、届出書の各欄に沿って簡潔に整理することが基本です。

⑧法人税・消費税の該当欄を確認する

異動届出書では、法人税と消費税のどちらに関係する届出なのかを確認します。国税庁の記載要領では、表題の法人税・消費税について、届け出る税目に該当するものを選択することとされています。

消費税の異動事項についても同時に届け出る場合は、消費税の欄を適切に選択しましょう。

法人の解散届出書の記載例

法人の解散に伴う異動届出書は、法人の基本情報に加えて、解散したことや異動年月日などを記載して提出します。ただし、「異動事項等」「異動前」「異動後」など、普段あまり記入する機会のない項目もあるため、実際にどのように書けばよいのか迷う方もいるでしょう。

特に、解散日と解散登記を行った日が異なる場合や、解散に伴って代表者などの情報に変更がある場合は、記載する内容を整理しておく必要があります。

ここでは、一般的な法人が解散するケースを想定し、異動届出書の具体的な記載例を紹介します。あわせて、「異動事項等」「異動前・異動後」「異動年月日」の書き方や、記入時に間違えやすいポイントについても解説します。

解散の場合の記載例

ここでは、株式会社が解散するケースを例に、異動届出書の記載内容を確認します。

例えば、法人名を「株式会社ABC」、本店所在地を「東京都○○区○○1-2-3」、納税地を本店所在地と同じとします。解散日は令和8年8月31日で、解散前の代表者と解散後の清算人はいずれも山田太郎とします。

この場合、「異動事項等」には「解散」と記載します。「異動年月日」には、法人が解散した日である令和8年8月31日を記載するのが基本です。

また、法人名や納税地などの基本情報についても、異動届出書の所定の欄に記入します。今回のケースでは、納税地は本店所在地と同じため、「東京都○○区○○1-2-3」と記載します。

なお、解散に伴って代表者が変更されたり、本店所在地が移転したりする場合は、解散だけでなく、発生したほかの異動についても記載内容を確認する必要があります。実際に記入する際は、登記事項証明書や株主総会議事録などを確認し、解散日や法人の異動内容と一致するように作成しましょう。

「異動事項等」には何を書く?

解散の場合、「異動事項等」には基本的に「解散」と記載します。

例えば、「異動事項等:解散」とすることで、何の異動を届け出る書類なのかを明確にします。

同時に代表者変更など別の異動がある場合には、その内容も確認します。

「異動前」と「異動後」はどう書く?

「異動前」には変更が生じる前の内容を、「異動後」には変更が生じた後の内容を記載します。例えば、解散に伴って代表者が変更される場合は、異動前に解散前の代表者を、異動後に解散後の代表者や清算人に関する情報を記載します。

一方、解散によって所在地や法人名などに変更が生じていない場合は、すべての項目について無理に変更内容を記載する必要はありません。今回の解散によって実際にどの情報が変わるのかを確認し、異動届出書の各項目に沿って記載することが大切です。解散登記後の登記事項証明書などを確認しながら作成すると、記載内容の間違いを防ぎやすくなります。

「異動年月日」はいつの日付を書く?

基本的には、異動が発生した日を記載します。解散日については、株主総会議事録や登記事項証明書などで確認します。特に注意したいのは、「解散を決議した日」と「解散日」が異なるケースです。

例えば、

  • 8月20日:株主総会で解散を決議
  • 8月31日:解散日
  • 9月3日:解散登記

という場合、解散日を8月31日と定めているのであれば、8月31日を基準として考えます。

ただし、法人の種類や解散原因によって解散時点が異なる場合もあるため、登記内容と議事録を確認することが大切です。

記載するときに間違えやすいポイント

異動届出書を記入するときは、解散日と解散登記の日付を混同しないよう注意しましょう。法務局への登記申請日と実際の解散日が異なる場合があるため、議事録や登記事項証明書などで確認してから記載します。

また、「異動前」と「異動後」を逆に記入しないことも重要です。変更前の内容を「異動前」、変更後の内容を「異動後」に記載します。

法人番号は13桁の数字を正確に入力し、消費税についても異動がある場合は該当欄を確認しましょう。

なお、異動届出書を提出しただけで税務手続きがすべて終わるわけではありません。解散後の法人税申告なども忘れずに確認してください。

法人の解散届出を税務署へ提出する期限

法人を解散するときは、税務署への異動届出書をいつ提出すればよいのか確認しておく必要があります。法人税の申告とは異なり、異動届出書には具体的な日数で定められた提出期限はなく、原則として異動後速やかに提出します。

また、解散後は法人税の申告など、別途期限が定められている手続きも発生します。そのため、異動届出書の提出時期だけでなく、解散後に必要となる税務手続き全体を把握しておくことが大切です。

ここでは、法人の解散に関する異動届出書の提出時期や、提出が遅れた場合の対応について解説します。

異動届出書はいつまでに提出する?

法人の解散に関する異動届出書は、国税庁の案内では「異動等後速やかに」提出することとされています。そのため、解散後に必要な情報や書類を確認したうえで、できるだけ早く税務署へ提出しましょう。

異動届出書は、法人税の申告書とは別の手続きです。申告期限まで待ってまとめて提出するのではなく、異動届出書は解散後速やかに提出し、法人税については別途定められた期限に従って申告する必要があります。解散後の手続きを一つずつ整理しておくと、届出や申告の漏れを防ぎやすくなります。

解散登記後、できるだけ早く提出する

法人の解散登記が完了したら、税務署への異動届出書も早めに準備して提出しましょう。法人の解散では、法務局での登記だけでなく、税務署への届出や都道府県・市区町村への地方税の手続き、解散後の税務申告なども必要になります。手続きの漏れを防ぐためにも、それぞれの提出先と期限を整理し、チェックリストなどで進捗を管理しておくと安心です。

期限を過ぎた場合はどうなる?

異動届出書の提出が遅れた場合でも、未提出のまま放置するのは避けましょう。気付いた時点で速やかに提出し、同時に法人税などの申告期限が過ぎていないかも確認します。

特に注意したいのは、異動届出書の提出が遅れたことによって、法人税の申告期限まで自動的に変わるわけではない点です。届出と申告は別々に考える必要があります。

法人の解散届出を税務署へ提出するときの必要書類

法人を解散するときは、税務署への異動届出書をはじめ、法人の状況に応じて準備する書類を確認する必要があります。また、解散に伴う税務手続きでは、税務署だけでなく都道府県や市区町村への届出が必要になる場合もあります。

ここでは、法人の解散届出を税務署へ提出する際に用意しておきたい書類や、登記事項証明書などの添付書類が必要になるケースについて解説します。

異動届出書

まず準備するのが異動届出書です。

国税庁の様式を使用し、法人の基本情報と解散に関する異動内容を記載します。解散・清算結了は、この異動届出書で届け出ることができます。

登記事項証明書の写しは必要?

登記事項証明書については、「解散時は必ず写しを添付する」と一律に考えないほうがよいでしょう。必要な添付書類は、届出内容や提出先、手続きの種類によって異なります。

一方で、実際に届出書を作成する際には、解散日や清算人などを確認するため、登記関係書類を手元に用意しておくと便利です。

定款や議事録が必要になるケース

解散日や解散の決議内容を確認するときは、株主総会議事録や定款などが資料になります。

特に、以下のケースでは、登記関係書類だけでなく社内の議事録なども確認しましょう。

  • 解散日を確認したい
  • 清算人を確認したい
  • 代表者の変更がある
  • 事業年度が変わる
  • 本店所在地も変更する

添付書類は税務署と自治体で異なる

税務署に提出する書類と、都道府県・市区町村に提出する書類は同じとは限りません。

そのため、「税務署に出したから地方税の手続きも完了した」と判断しないことが重要です。

地方税については、法人所在地を管轄する自治体の案内も確認しておきましょう。

法人の解散届出を税務署に提出する方法

法人の解散に関する異動届出書は、税務署の窓口へ持参する方法のほか、郵送やe-Taxによるオンライン提出にも対応しています。自社の状況や手続きの進めやすさに合わせて、提出方法を選ぶことができます。

ただし、提出方法によって必要な準備や控えの保管方法などが異なるため、事前に確認しておくことが大切です。ここでは、法人の解散届出を税務署へ提出する3つの方法について、それぞれの特徴や注意点を解説します。

税務署の窓口へ提出する

紙で異動届出書を作成し、所轄税務署へ持参する方法です。

提出方法が分からない場合や、窓口で確認したいことがある場合には利用しやすい方法です。

郵送で提出する

税務署へ書類を郵送することもできます。

郵送で提出する場合は、提出用書類だけでなく、自社で保管する控えについても準備しておくとよいでしょう。

e-Taxで提出する

法人の解散に関する異動届出書は、e-Taxを利用してオンラインで提出できます。e-Taxソフト(WEB版)では、法人の異動手続きとして解散や清算結了に関する届出書を作成し、送信することが可能です。

作成時は、画面上で該当する異動事項を選択し、法人名や納税地、異動年月日などの必要事項を入力します。紙の届出書を税務署へ持参したり郵送したりする手間を省けるため、オンラインで手続きを済ませたい場合に便利です。

ただし、e-Taxを利用するには、事前に利用環境や必要な認証・電子署名などを確認しておく必要があります。実際に手続きを始める前に、e-Taxの最新の利用案内を確認しておきましょう。

法人の解散届出を提出する税務署はどこ?

法人の解散に関する異動届出書は、原則として法人の納税地を管轄する税務署へ提出します。解散と同時に納税地を変更する場合などは、提出先を確認しておきましょう。

また、税務署だけでなく、都道府県や市区町村への届出が必要になる場合もあります。ここでは、解散届出の提出先と税務署以外に必要な手続きについて解説します。

原則として納税地を所轄する税務署へ提出

法人の異動届出書は、原則として納税地を所轄する税務署へ提出します。

どの税務署が担当になるか分からない場合は、法人の納税地をもとに確認しましょう。

納税地を変更した場合の提出先

解散と同時期に納税地の異動がある場合は、提出先について別途確認が必要です。法人の納税地の異動については、平成29年4月1日以後、一定の異動届出書について提出先が簡素化され、異動後の税務署への追加提出が不要となっています。

ただし、解散以外の異動も同時に発生している場合は、届出内容を整理して提出先を確認することが重要です。

税務署以外にも届出が必要

法人を解散する場合、税務署への異動届出書を提出するだけでは手続きが完了しません。法人住民税や法人事業税などの地方税についても、法人の所在地を管轄する都道府県や市区町村へ解散の届出を行う必要があります。

地方税の手続きは自治体によって提出方法や必要書類などが異なる場合があります。そのため、税務署への届出とあわせて、法人が所在する自治体の案内も確認しておきましょう。e-Taxソフト(WEB版)では、対応している自治体の法人都道府県民税・事業税や法人市町村民税に関する異動届を作成・送信できる場合もあります。

法人の解散後に必要な税務申告

法人を解散しても、その時点ですべての税務手続きが終わるわけではありません。解散後も清算が完了するまで法人としての申告が必要になる場合があり、法人税だけでなく消費税や地方税なども確認する必要があります。

ここでは、解散事業年度から清算結了までに必要となる主な税務申告について、手続きの流れに沿って解説します。

解散事業年度の法人税申告

解散した法人も、解散前の期間について法人税の申告を行う必要があります。ここで重要なのは、解散届出と法人税申告を別々の手続きとして扱うことです。異動届出書を提出した後、法人税についてどの期間を対象に申告するのかを確認します。

清算中の事業年度に行う申告

解散後は清算手続きに入ります。清算期間中に事業年度が終了する場合などには、その期間についても法人税の申告が必要になることがあります。

清算中に資産を売却したり、債権を回収したりすることで取引が発生するケースもあるため、「解散後は取引がない」と決めつけないことが大切です。

残余財産が確定した後の申告

清算手続きが進み、債務の整理や財産の処分を終えると、最終的に残余財産を確定させます。この段階では、清算結了に向けた法人税の申告について確認します。

解散法人の税務処理には、法人の財産状況や欠損金の有無などによって判断が必要になる部分があります。

法人税以外に確認したい税務手続き

解散後は、法人税だけでなく、消費税や源泉所得税、法人住民税、法人事業税についても必要な手続きを確認しましょう。特に、解散後も従業員への給与や役員報酬を支払う場合は、源泉所得税の処理が必要になることがあります。

法人の事業内容や解散後の状況によって必要な手続きは異なるため、自社に該当する税務手続きを整理しておくことが大切です。

解散したら税務申告が不要になるわけではない

「会社を解散したので、もう税務申告は必要ない」と考えるのは危険です。解散は清算の始まりであり、清算が完了するまで一定の税務手続きが続きます。そのため、解散日を起点として、その後に発生する届出・申告・納税を時系列で管理することをおすすめします。

法人の解散届出でよくある間違い

法人を解散するときは、法務局での解散登記に加えて、税務署への異動届出書の提出や法人税の申告、地方税の手続きなど、複数の対応が必要になります。手続きを一つずつ確認して進めないと、届出の提出先を間違えたり、必要な申告を忘れたりする可能性があります。ここでは、法人の解散時に起こりやすい代表的な間違いを紹介します。

税務署への届出を忘れてしまう

解散手続きでは、法務局への解散登記が中心になるため、税務署への異動届出書の提出を後回しにしてしまうことがあります。しかし、登記手続きと税務上の届出は別の手続きです。

解散登記が完了したら、税務署への異動届出書についても早めに準備しましょう。また、都道府県や市区町村への地方税の届出が必要になる場合もあるため、税務署への手続きだけでなく、ほかの提出先もあわせて確認しておくことが大切です。

解散日と登記日を混同する

異動届出書を記載する際には、「解散日」と「解散登記を申請した日」を混同しないよう注意が必要です。会社の解散日は、株主総会で決議した日などを基準に定められるため、法務局へ登記を申請した日と一致しないことがあります。

異動年月日を記載するときは、株主総会議事録や登記事項証明書などを確認し、実際の解散日を正しく記載しましょう。

「異動前」と「異動後」を逆に記載する

異動届出書の「異動前」と「異動後」は、記載内容を取り違えやすい項目です。「異動前」には変更が生じる前の状態を、「異動後」には変更後の状態を記載します。

解散と同時に代表者や納税地などにも変更がある場合は、どの項目がどのように変わったのかを整理してから記入するとよいでしょう。登記事項証明書などを確認しながら作成すると、記載ミスを防ぎやすくなります。

解散と清算結了を同じものだと考える

法人の解散と清算結了は、同じ手続きではありません。解散すると法人は清算の段階に入り、その後、債権の回収や債務の支払い、残余財産の処分などを進めます。そして、これらの清算手続きが完了した段階が清算結了です。

そのため、解散時に異動届出書を提出したからといって、法人に関するすべての手続きが終了したわけではありません。清算結了までに必要な届出や税務申告についても、忘れずに確認する必要があります。

税務署への届出だけで手続きが完了したと思ってしまう

異動届出書を税務署へ提出しても、法人税の申告や地方税の届出などが自動的に完了するわけではありません。解散後は、必要な届出や申告、納税を順番に進め、最終的な清算結了まで手続きが残っていることを意識しておきましょう。

解散後の手続きを一つずつ整理しておくことで、提出漏れや申告期限の見落としを防ぎやすくなります。

まとめ|法人の解散届出は異動届出書の書き方を確認して税務署へ提出しよう

法人を解散するときは、法務局での解散登記とは別に、税務署への税務手続きが必要です。解散の届出には基本的に「異動届出書」を使用し、解散の内容や異動年月日などを正しく記載します。

また、解散後も法人税や消費税などの申告が必要になる場合があり、都道府県・市区町村への地方税の届出も確認しておく必要があります。e-Taxを利用すれば、異動届出書をオンラインで提出することも可能です。

解散は清算結了をもってすべての手続きが終わるため、異動届出書を提出しただけで完了したと考えず、解散後の申告や清算結了までの手続きを漏れなく確認しましょう。

この記事を書いた人

株式会社プロメディアラボにてマーケティング事業に携わり、継続的に成果を生み出すための戦略設計と仕組みづくりに取り組んでいる。

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